現場職人用語集」カテゴリーアーカイブ

現場で職人さんが使う用語集です。これを読めばあなたも建築通?

げんのう

職人が使っている金づちの事。1種類ではなく工事の場所、時期に合わせて、げんのうの頭が大きく釘を打ち付けたときに威力のあるものと(主に上棟時に使う)、げんのうの頭が通常見慣れているサイズで、造作工事等に向いている物の2種類を使い分けています。

墨付け・刻み(すみつけ・きざみ)

新築等で木材を現場に運搬する前、建物の面積にもよりますが10日~20日程の期間、作業場にて木材に事前加工を施します。最近専門の業者よるプレカットという機械による木材加工も発達しておりますが、当社では構造躯体にいっそうの強度を与える手加工にこだわっています。
墨付けでは木材に切断する長さや仕口(木材が直角に交わる箇所の組み手)と継ぎ手(木材を文字通り継いでいく箇所)の位置を表します。
また、これら墨付けの情報を基に今度は丸のこやノミを使って木材に実際の加工(きざみ)を施し上棟に備えます。

養生(ようじょう)

建築工事をする際、仕事をしたものに対して完成まで守る作業を一般的に養生と呼んでいます。シート養生、ベニヤ養生、ネット養生等いろいろな養生作業がありますが、これらを怠ると工事全体が完成までに補修を行うなどの無駄な作業を重ねなければならないことが多い。

請負(うけおい)・常用(じょうよう)

大工や職人が一般的に用いる雇用関係の言葉。
請負とは、決められた仕事量を決められた金額や期限で、完成まで責任を持つという発注主と受注側の契約関係。一方、常用となると、発注主が与えた仕事を働いた日数分のみ支払う日雇い的な雇用関係となる。
前者は早くきれいに仕事を仕上げれば職人に働いた日数分以上の手間が付くため、技術とスピード、頑張りのある職人はこの雇用関係を選ぶ。また発注側にしても常用と違い工事金額及び工程及び期日の把握が当初より出来るので、現在では請負を一般的な雇用制度としている建築会社が多い。
ただし請負制度も、施工会社側と職人がしっかりとした信頼関係で結ばれていて、なおかつ施工管理が行き届かないと、「早かろう悪かろう」というクレームの原因となる施工につながりますので、信頼できる職人を長期間雇用できる労働環境をつくる必要があります。

尺づえ(しゃくづえ)

大工が木材に墨付けの作業をするときに、あらかじめ木材の定規を作り作業の効率化を図ったもの。
長さは12尺で作成され、一尺ごとに目盛りが切られており、その目盛りをもとに材の長さを決めて継ぎ手や仕口の位置を割り出す。基礎工事を行う前の建物の長さの割り出しも「尺づえ」を用いています。

芯持ち、芯去り(しんもち、しんさり)

木材を見ると、年輪の中心が入っている材があります。この材は鉛直荷重に強いけれども、割れや曲がりの可能性も大という一長一短の特徴を持っています。小径木から材を木どりした場合、ほとんど「芯持ち材」となります。
これに対し、大径木から芯をはずして木どりされた材が「芯去り材」となり、芯持ち材の短所が解消されます。ただし年数の経った大径木から生産されるので値段も高く、流通も芯持ちに比べてあまりないので一般的には芯持ち材が使用されることが多いようです。

民木、官木(みんぼく、かんぼく)

一般的に、秋田で使用される材料の中で使用頻度が高いのが地場産の杉材ですが、人工林で育成された木材を「民木」と呼び、天然物の木材を「官木」と呼んでいます。
天然物の官木は年輪の目も細かくて意匠的にも美しく、秋田を代表する秋田杉の名で親しまれてきましたが、今では生育面積も減り、価格も私どもでも「えっ・・・」と唸るほど高い材となってしまいました。

十字(じゅうじ)

基礎工事が終了し、大工が土台を据え付ける時に直角の基準となる位置から寸法を割り振りして、基礎に墨を打ちます。だいたいは建物の中心より寸法を外に追っていきますが、その最初の基準墨を「十字」と呼んでいます。
たて、よこの直角を見るという意味でも文字通り「十」という字を基礎に書く作業となります。

FL(エフエル)・GL(ジーエル)

基礎のテンバ(頂点)高さ等を表現する場合、GL+600(ジーエルプラス600)という表現をします。地盤高さ(GL=グランドライン)から600mm上が基礎のテンバだよという呼び方となります。これと同様にFL(フロアーライン)から850mm上がった高さに窓の下端(したば)を取り付けたい場合等、FL+850窓下端(エフエルプラス850mmまどしたば)という言い方になります。

掃き出し(はきだし)

大きい窓(床から直接取り付けられるサッシ)を「掃き出し」と略して呼んでいます。大体高さを1800mm以上の物を掃き出し窓と呼んでいますが、バルコニーへの出入口などの防水壁の立ち上がりが150mm必要な場合は、指示するとき「その掃き出しだばFL+150に付けでけれ~」となります。