現場で頻繁に使われる用語。設計図面では表現しきれない材と材との取り合い等で、設計者と現場施工者との間で、寸法のいき違いや思い違いがあった場合に多用される。何か都合が悪くなった場合、とりあえず「納まりをもう一度考えるス」と言って他の話題に変えればその場を取り繕える便利な用語でもある。
月別アーカイブ: 2012年7月
したり
材料に対する無駄(ロス)、ハンパの事。サイディング・床材など建材、木材全般にわたり貼り方、割リ方等を考えずに施工すると見積数量より多く材料が必要となり、結果として「したり」を増やす事になります。また、現在流通している材料のほとんどがいまだに尺貫法に基づき供給されておりますので、メーターモジュール等を採用した場合には材の「したり」が多くなります。
いたばしり
2階床梁上に施工する根太材を指して言う。寸法は標準的に3.5寸(105ミリ)×1.5寸(45ミリ)@303ピッチで施工されます。上記を言葉で表すと「さんごーのいちごーしゃくぴっち」となります。
二階持ち
二階床を支える梁を指して言う。寸法は幅3.5寸(105ミリ)~4寸(120ミリ)、丈が5寸・6寸・7寸・8寸・9寸・1尺・1.2尺~と一寸刻みで大きくなっていきます。通常使用する材料は秋田杉ではやわらかく、曲げに対して弱いため、米松を使用しています。
ていた
大工さんが材料の下ごしらえをするために、自分なりに書いた構造図を言う。横軸方向をいろはにほへと・・・・で書き、縦軸方向を1.2.3.4.5・・・・と数字で表現している。傍目から見ては何でこの板で継ぎ手や仕口がわかるのか不思議ですが、昔からのルールがあり建て方が終わるとちゃんと納まっているという大工の技が集約された板。昔の建物は設計図がなくても「ていた」があれば建っていたらしい。尚、2階等の柱は1階との区別をつけるため「ほノ4ー②」と墨で書かれています。
かけや
木製の大きな木槌を指す。上棟では現場にぼそっと立っていると「かけや持ってきてけれー」と大工さんから気合いをかけられることも多い。
「かなで」と「たちなり」、「レベル」
建築の場合、直角と垂直、水平がすべてと言っても過言ではありません。これらを上棟時等の最初に間違えると後々内部造作等でも大変なことになります。直角を「かなで」、垂直を「たちなり」、水平高さを「レベル」と呼びます。
ころばし
ころばしといっても何かを転がすわけではなく、通常材料をある物に這わせたり、表面にあらわしで施工したりする場合に使っています。
現場使用例:「この給水配管だば、土台にころばしてトイレまでひっぱってけれー。」 標準語訳:「この給水の配管は土台にそってトイレまで施工をお願いします。」
となります。
ぶっつけ仕事
造作材等施工の最後の仕上げにどういう細工をするかにより仕上がりの美しさが決まります。
現在の建材メーカー内部仕上造作材のすべてと言って良いほどぶっつけ仕事(上から打ち付けるだけとか施工の省力化を図った物)で構成されていますが、自社で造作材(無垢物)を加工している会社は、ほとんどが最後の仕上げに一手間、二手間かけた羽目仕事をしています。施工時間は後者の方が長くて非効率的ですが、十年、二十年と建物の経年変化がおきればその違いは歴然となります。
俗に施工スピードは速いけれど仕上がりも雑な大工さんを「ぶっつけ大工」と呼んでいますが、当社には存在しませんのでご安心下さい。
原寸
建物の高さ関係や階段等の難しい納まりがある場合に、実際の寸法をベニヤや木材に描き、確認する事前作業の事。鉄骨工事でもよく「原寸おこし」が行われます。