矩計(かなばかり)

建築設計図面の中に「矩計図」という図面があります。基礎や土台、1F床高さ~2F床高さ~2F軒高さや屋根の勾配、軒先の形状を明確にするために書かれています。
家をケーキに見立てて簡単に表現しますと縦に切って中の断層構造がわかるような作業をした図面となりますが、天井高さや階段の段数や蹴上げ(階段1段の高さ)の元になる図面でもあります。よく「くけいず」と読むケースがありますが、正式には「かなばかり」と読まれます。

点検口(てんけんこう)

収納や押入を造作する場合、それらのいずれかの天井には1F、2Fそれぞれ天井裏にもぐっていける「点検口」を設けています。
建築後に電気増設等の改修があれば出来る限り点検口より作業するようにしておりますが、梁が邪魔して作業できないケースもあります。また床に関しましては「凍り止め」の作業をする為に床用点検口を設けておりますが、現在高断熱の家では水道が凍るケースはまずありませんので、水漏れ等のいざというときの為に凍り止めで水道が止められるように、また床の状態を確認するときの出入口として考えております。

跳ねだし(はねだし)

よく2Fにバルコニーをつくる場合等に、1Fにバルコニーを支える柱を設けずに建物より突出して計画するケースがありますが、このような施工をするときに「跳ねだしを掛ける」と呼んでいます。
本来であれば下階に支える柱等があれば理想なのですが、諸問題で施工が出来ない場合には上からの荷重を支えるべく材寸のある部材を使用して、長い年月にも耐えられるように計画しております。

母屋下がり(もやさがり)

建物の屋根の高さの基準は、軒高寸法という一定の寸法にて決められて施工されておりますが、隣家との建築基準法の問題や、屋根の納まりを考える場合に、屋根基準軒高を部分的に低く変更する場合があります。その部分を「母屋下がり」と呼んでいて、5寸勾配の屋根であれば3尺間(910ミリ)母屋下がりで通常の屋根より-455ミリ低い屋根基準高さの設定となります。当然天井の高さにも影響してきますので計画する場合にはお施主様に事情を説明しております。

手斧(ちょうな)

木材を製材する機械があまり普及していなかった頃、住宅に使用される梁等の木材は「手斧」で削り目を出して仕上げられました。これらは伝統的な藁葺きの民家等を見学する機会があれば確認することが出来るかと思います。
現役の大工さんでは「ちょうな掛け」という作業をした方は少ないようですが、経験者に聞くと梁1本仕上げるのにも相当の労力を要し、最初の頃は手に豆が出来、破けて大変だったようです。現在でも木材を常時扱っている大工職人の手を見るとほとんどの方の手や指が太く大きい事に気付きますが、「手斧」を経験した方の手はまさにグローブと言った表現が正しいような形をしています。

火打ち(ひうち)

建物の強度を上げる手法として大きく分類しますと、垂直方向の力に対して強度を持たせようとする施工方法と水平方向に強度を上げる施工方法があるかと思います。在来木造建築の場合は垂直方向に対しては「筋交い」や「構造用合板」、水平方向の力に対しては「火打ち」という部材が多く用いられます。「火打ち」の種類として「土台火打ち」、「2階火打ち」、「小屋火打ち」とそれぞれ使用する箇所によって名称や寸法を変えて用いられます。

濡れ縁(ぬれえん)

和室の前などに室外部分として使用できる縁台をつける場合がありますが、これらを一般的に「濡れ縁」と呼んでおります。最近では洋風のデッキが大流行の感がありますが、お月見や通りで碁や将棋を指す風景を醸し出す小物として欠かせないものがあるかと思います。最近では塗装等の手入れがいらないアルミ製の品物が活躍しているようです。

留め切り(とめぎり)

サッシの廻りや各部屋の入口等には窓枠、開口枠と言って木製枠が施工されます。この枠は部材として天井から床方向に向かう縦部材と、これら縦枠と直交する横部材に分けられますが、この部分の取付はそれぞれの部材を45°斜めカットで接合されることが通常です。この切り方を「留め切り」と呼んでいて、木材が乾燥していない場合や腕の悪い職人が施工すると「留め」の部分が開いてきてしまいます。何年経っても留めがぴったりと開かない施工を見ると、その建物を工事した職人の良さが見えてきます。 

丈三(じょうさん)

和室を計画する場合、柱の長さを通常よりも大きいものを用いて天井高さを高くする場合があります。ふつうの住宅では柱長は10尺・主に集成材柱(3030ミリ)~12尺・無垢柱(3640ミリ)で計画されますが、「丈三」と言って13尺長の柱を使用して天井高さを高くすることにより和室を豪華に見せる手法もあります。ただ、この場合は流通規格外の柱を使用することになりますので価格も高価なものになります。